『理想の関係?』 「さて、どうしたもんか」  武流は痛む頭を押さえ、食器や料理、そしてちょっと見当もつかないものが散乱する室 内を見渡した。 「ん……むにゃ」  その動きに刺激されたのか、彼の胸板に頭を預けて眠っていた少女が身じろぎする。同 時にぷにゅんとしたモノが押し付けられた。視線を落とすと、少女の豊かな乳房が自分に 押し付けられている。本来形のいいそれが武流の体に沿った形で歪んでいる光景は、なか なかに卑猥だ。  それだけなら問題は無い。なんといってもその少女、洸は武流の恋人兼家主であり、こ うして互いに半裸のまま朝を迎えたとしても不自然ではない。  しかし……  もぞもぞと、もう一つの気配が下半身のほうでうごめく。  確認するまでも無い。武流の義妹のすせりが、やはり半裸で彼に抱きついているのだ。 「ふふふ。お兄様ぁ」  実に幸せそうな表情で寝言を呟く。どんな夢を見ているのか、それで大体の見当はつい た。 「ああ、お兄様の匂い。素敵ですわぁ」  くんくんと鼻を鳴らしながら武流の肉棒にほおずりしているのを見ると、目が覚めてい るのではないか、とも思えるが。まあ、こちらもあまり問題は無い。  と、いうか無理矢理問題はないと自分に言い聞かせる。 「しかし、これは片付けるのは一仕事だな」  あくまで問題は散乱した室内だけだと。  事の起こりは、一週間ほど前にさかのぼる。  キッチンで包丁をとんとんと動かしていた洸は、突然のすせりの提案に驚いてあやうく 指を切りそうになった。 「あらあら、私がお料理を教わりたいというのは、そんなに意外かしら?」 「え。ううん。そんな事ないよ。ただ、いきなりだから驚いただけ」 「ふふふ。私もただ居候しているだけでは芸がありませんもの。そのくらいの家事は任せ てもらえるようにしたいですわ」 「すせりちゃん……」  普段、何かと衝突している事も忘れ、洸は素直に感動した。 「そんなに気をつかわなくてもいいのに」 「いいえ。当然の事ですわ」  ほほほほほ、と笑ってそれ以上の追求をかわそうとするすせり。洸はこの時点で怪しい と気付くべきであった。  が、彼女は嬉しそうな顔でジャガイモと包丁をすせりに手渡した。 「わかったわ。じゃあ、まずおイモの皮むきからやってくれる?  包丁の使い方はわかるよね」 「ええ、私こう見えても家庭科の調理実習は得意ですのよ」 「そう。それは頼もしいわね」  表面上はにこにこしながら、すせりは早速イモを剥き始める。 (なんて鈍い女なんでしょう。それとも敵に塩を送っているつもりなのかしら。  ま、どちらにせよ。後でご自分の判断をたっぷり悔やんでくださいまし) 「でね、おイモを剥くときの注意点はね……」 「あ、はい」  そんなすせりの内心など知らずに丁寧に説明を始める洸に、すせりは邪気の無い笑顔を。 「ふーん。そんな事があったのか」 「そうなの。すせりちゃん、とっても熱心だったわ」 「すせりがねえ」  その夜。いつものように洸のベッドに寝転びながら、武流は意外そうな表情をしてみせ た。 「あの子、基本が出来ているし飲み込みも早いから、すぐに上達するわよ」 「そいつは楽しみだ」 「ん、もう。武流?」 「な、何だ?」  生返事をしていた武流は急につめよってきた洸に、おもわずのけぞる。 「妹が頑張っているのに、ちょっと冷たくない?」 「そ、そうかな」 「そうだよ」 「俺には、それよりも洸のほうがはしゃいでいるように見えるんだが」 「え!私?」  きょとんと洸は自分の顔を指す。 「ああ、はしゃいでいるっつうか、妙に嬉しそうだぞ」 「あ。うーん。少し嬉しいかも。すせりちゃんが頼りにしてくれて」 「なんだ。そういう趣味でもあったのか」 「んもう。違うよ」  からかうような口調の武流。その顔面に、洸はばふっとクッションを叩きつける。 「うわっ」 「あのねぇ。そうじゃなくって。  ちっちゃい子に頼られるのって、なんだか妹に頼られてるみたいで嬉しくない?」 「んー。言われてみればそうかもな」  ひょいっとクッションをどけて同意する。 「……私が一人っ子だから、っていうのもあるかもしれないけど」 「なるほど」  武流の口の端に、今度はからかうような笑みがのぼった。クッションを投げ返しながら 軽口を叩く。 「それで優しいお姉様としては、かわいい妹の力になるのが楽しくてしょうがないという わけか」 「もうっ。からかわないでよ」  そう言いながらも、声に嬉しさが滲み出ていた。クッションを再び手にとった彼女は、 それを手の中で弄ぶ。 「それに……ね」  少しだけ頬を染め、ちらっと武流の様子をうかがいながら。 「ん?」 「それに、武流の妹なら私にとっても妹みたいなものでしょ?」 「ふっ……」 「あっ、ちょっと武流。今笑ったでしょ」 「いんや」 「ウソ。絶対笑ってた。もう。人がせっかく真面目に話しているのに」  先程とは別の理由で顔を赤くして、洸はクッションでばふばふと武流を叩く。 「うわっ。悪かった。俺が悪かったって」 「もうっ。武流のバカぁっ」  洸はしばらく一方的に叩き続けていたが、やがてどちらからともなくふきだした。 「もう。本当にバカなんだからあ」 「まあ、そう言うなって」 「きゃっ」  武流のたくましい腕が、一瞬の隙をついて洸の手首を掴む。そのまま洸は抱きしめられ ていた。 「それに本当は俺も嬉しいんだぜ」 「え?」  耳元で囁かれる声に、少女はびくんと身を震わせる。 「洸が俺達の事を家族同然に考えてくれているんだからな」 「武流……」  愛しい人の優しい言葉に、うっとりと瞳を閉じる洸。その唇に暖かいものが重ねられた。  そんな会話をしたこともすっかり忘れられた頃。  武流はいつにもまして豪華な晩飯に目を見張った。 「こいつはまた豪勢だな。  なんか良い事でもあったのか?」 「ううん……そうじゃなくって」 「お兄様っ。見てくださいまし。  これ、全部私が作りましたの」  光の言葉をさえぎって、すせりがはずんだ声をあげる。 「へえ? すせりがこれを」 「そうだよ。  私も少し手伝ったけど、ほとんどすせりちゃん一人で」  そういう洸も嬉しそうだ。  本当の妹の成長を見守るような気分なのかもしれない。 「ささ、お兄様。どうぞお召し上がりになってください」 「お。そんじゃ、さっそく……」  武流の箸が魚の照り焼きにのばされる。  すせりは、そして洸もその挙動に注目した。  ぱくり。 「うん。なかなかいけるじゃないか」 「ふふふっ。お兄様のお口に合いましたようで、光栄ですわ」  上機嫌に答えるすせり。いつのまにか彼女は武流の隣に控えていた。 「ささっ、お兄様お飲み物も用意してありますわ」  そして武流の手にグラスを握らす。 「サンキュ」  武流はそれを一口飲むと、再び料理にとりかかる。 「良かったわね。武流に喜んでもらえて」 「ええ、まったくですわ。  はいお兄様、こちらも自信作ですわ」  かいがいしく給仕するすせりを微笑ましい思いでみつめながら、洸も料理に手をつける。 「うん」  すせりの料理に自分が教えた事がいかされているのを確認し、笑みがこぼれる。  これまで衝突の多かったすせりだったが、料理を教えていたここ一週間ほどは思いのほ か真摯で、そして従順だった。 (もしかして、家族の一員として受け入れられたのかな?)  そんなことをちらっと思ってみたりもして、一人で顔を赤らめたりしてみる。  実に甘い。  洸の思いをよそに、すせりの行動はかいがいしい給仕の範囲を逸脱していった。 「はい。お兄様。これも美味しいですわよ」 「あーむ。  しっかし、すせりは本当に料理が上達したなあ」 「おほほほほほっ。  これもひとえに、お兄様への愛ゆえにですわ」 「って、あんた達何やってんのよ」  きょとんと、フォークをくわえたままで動きを止める武流。ちなみに、そのフォークを 持っているのはすせりである。 「なにって。お兄様に食べさせてあげているのですわ」 「そうじゃなくってね」 「ほほほほほ。  私が料理したのですから、これくらいするのは当然の権利ですわ」 「そんなっ…!」 「ねえ、お兄様。これからはお兄様のお弁当も私が作ってさし上げますわ」 「ダメッ!!それは絶対ダメ」 「あら、毎日食べるものですもの、お兄様の嗜好を熟知している私が作るほうが適任です わ。  もうそれ位は作れますし」 「だから……  っ!?もしかして、あんなに熱心に料理を習っていたのは……」 「あら、やっとお気づきになりまして?  ずいぶんとにぶいですわね。これだから巨乳は……」 「あのねえっ。  もう。武流からも何か言ってよ」 「まあ、いいじゃないか。子供の言う事だろ」 「その子供にえっちなことしたくせに……」  じとりと武流を睨む。  と、その顔が微妙に赤いのに気付く。  照れている?  いや、彼はそんな事くらいで照れるような男ではない。 「……酔っ払ってるの?」 「ん。まあな」  言ってグラスを掲げる。その中身は一見水のようだが…… 「日本酒!?」 「正解」 「ここの家の蔵、結構いろんなお酒がございますのね」 「な、な、な、何勝手に持ちだしてんのよ」  こちらは怒りで真っ赤になる洸。 「固い事いうなって。すせりも飲むか?」 「それでは、ご相伴いたします」 「だ、ダメよ。そんなちっちゃい子にお酒なんて」 「だから、すせりはにじゅ……」 「そんな冗談はどうでもいいのっ」 「うるさいな」 「え?」  武流はコップの中身を口に含むと、洸を抱き寄せた。 「ん?うむむぅぅ」  そのまま、いきなりの事に目を白黒させる少女の唇を奪った。 「ぅぅ。こくんっこくんっ」  わけの判らないまま、口移しで日本酒を流し込まれる洸。 「けほっ、けほっ」 「せっかくだから、皆で楽しくやろうぜ」  そう言って笑う武流の袖を、すせりが引っ張る。 「お兄様。ずるいですわ。私も口移しで飲ませて欲しいですわ」 「そうか、それじゃいくぞ」 「わーーい」  きらきらと瞳を光らせ、武流が日本酒を口に含むのを見守る。そして、コップから口を 離すとほぼ同時に、その唇にむしゃぶりついた。 「んっ…んっ……こくんっ」  うっとりと瞳を蕩かせながら、アルコールを嚥下していく。 「はぁぁぁ」 「どうだ。美味い酒だろ」 「ええ、まさに甘露とはこのような味をいうのでしょうね」  答えるすせりの顔は、明らかに酒精以外のもので赤く染まっていた。 「うう。武流のバカぁ、変態……」  一方洸は、その光景を瞳を潤ませながら見つめる。 「あらあら、フラれ女が未練がましく見ていますわ」 「え?」 「この際だから言ってやったらどうですの?  お兄様にとってあの巨乳は遊びにすぎないと」 「な?」 「え?」  普段の洸であれば、武流に対して怒りを爆発させていたところだが、アルコールとすせ りから向けられる明確な悪意がその気力を削いでいた。 「そんな……そんな事ないよね?武流」 「い、いや」 「それともお兄様は、巨乳を選んでこの私を捨てるおつもりですの?」 「ぐっ」  武流は一転、自分がとんでもない窮地に追い込まれたことを悟った。 「武流?  怒らないから、私武流の本心が聞きたいの」 「お兄様。私はお兄様を信じていますわ」  左右から迫ってくる二人。 (ヤバイっ。なんとか誤魔化さなくては)  咄嗟に、武流はその二人を抱きしめた。 「武流?」 「お兄様?」 「なあ、二人とも聞いてくれ……」  声は落ち着いているが、その脳裏ではめまぐるしく言い訳が渦巻いている。 「俺にはどちらかを選ぶなんて不可能だよ。  二人とも、俺にとっては大事な家族の一員だ」 「か…ぞく?」 「ああ、そうさ」  武流は、真摯な詐欺師の心境で言葉を続ける。 「屋根の下で暮らしている間じゃないか。  二人とも、俺にとっては大事な、そしてかけがえの無い家族だ。  優柔不断と思われるかもしれないが、これが俺の本心だ。  愛しているよ、二人とも」  最後にぎゅっと二人を抱く腕に力をこめる。 「武流……」 (なんとか……誤魔化せたか?) 「お兄様。  申し訳ありませんでした。お兄様のお気持ちに気付かずに」 「いや、判ってくれればいいんだ」 「本当に気付きませんでしたわ。  お兄様が、3Pを望んでいたなんて…」 「…………………………………………」 「…………………………………………」  沈黙が部屋を支配した。 「は?」 「でも、安心してください。  お兄様の望みは私の望みでもありますわ。  この巨乳と一緒というのが気に食わないですが、二人一緒に愛したいと言うのであれば、 仕方ないですわ」 「た、武流。本気なの?」 「んなわけ…」 「当然ですわ。  ハーレムというのは殿方の夢ですのよ。  そんなこともご存じないとは」  黙って武流は酒を呷る。心の中になにか諦念のようなものが浮かんだ。 「ふぅ、お兄様の望みとあっては仕方ないですわ」 「えっ、ちょっときゃっ」  その目の前で、すせりは洸を床に押し倒す。不意をつかれ、アルコールで鈍った彼女に はそれに抗する術は無い。 「ちょっすけりちゃん。胸は……」 「ほらほら。しっかり乳首が勃っているいるじゃありまんの。  お兄様と3人でする事を想像して、興奮したんですのね」 「ち、違う……」 「どうだか、それにしては……  あらあら凄い濡れ方ですわ。  もしかして、お兄様の目の前で嬲られて興奮しましたの?」 「や、やぁ、たけゆぅ、見ないで、みにゃいでぇぇ」 「ふふふ。とんだ変態ですわ。  もう呂律がまわらなくなってますのね」 「ちやふぅ……」 「ほらほら。お兄様の準備も出来たようですわ」 「ふぇ?」  すせりの言葉どおり、武流は既に半裸で股間の肉棒は固くそそり立っていた。 「いや、まあ。んなもの見せ付けられれば」 「やらぁ……」  自分がどれだけ淫らな事になっているか気付き、悲鳴をあげる洸。しかし、それすらも 状況の艶っぽさを増す一因でしかない。 「ささ、お兄様。準備は整いましたわ」  すせりの指が洸のそこを広げる。武流の視線を受けてさらに潤んだそこは、持ち主の意 思とは別に武流を欲してひくひくとしている。 「すせりはいいのか?」 「私はお兄様に抱いてもらえると思っただけでもう……」 「そうか……」  武流がすせりの下着に手を入れると、確かにじっとりとした感触が伝わってくる。 「それじゃ、いくか」 「はい。お兄様」  洸に馬乗りになって責めるすせりの下着をおろして、腰を掴むと、武流は一気に肉棒を 突き入れた。 「ふわあああああ」 「おおっ。きつっ」  すせりの小さな膣は相変わらず武流の肉棒を貪欲に吸い込んで離さない。 「ああ、凄いですわ。子宮が突き破られそう。  お兄様っ、お兄様」 「ああ、そんな……」  自分の上で嬌声をあげるすせりを、洸は絶望の眼差しで見つめる。 「そんな顔すんなって」  ズリュ… 「ひゃっ」  武流は一旦すせりの膣から肉棒を引き抜くと、今度は洸の中に突き入れた。 「おおっ。こっちは」 「やらぁ……」  否定の仕草をするも、洸の膣道は武流の肉棒を積極的に迎え入れ、快楽を得ていく。 「こ、こいつは思っていた以上に……」  洸にしばらく入れた後、再びすせりに。  タイプの違う二つの膣に挿入するのは、想定外の悦楽をもたらしていた。 「お兄様ぁ。あっあっ、ふわぁぁ」 「やぁぁぁ、たけゆぅ、たけゆぅ」  二人の美少女の喘ぎ声が、それを加速させる。 「やぁぁぁぁ」  ついに耐え切れなくなった洸がひときわ大きな喘ぎ声と共に、絶頂に達した。 「うくっ」  ドクッドクッ  その刺激に、武流もまた洸の胎内に白濁液を放出していた。  放心状態で虚ろな瞳を武流に向ける洸。その表情はどこかなまめかしく、武流の肉棒は 再び固さを取り戻す。 「ああ、ずるいですわ」 「いや、大丈夫。まだいけそうだ」 「きゃあっ」  すせりは先程にまったく劣らぬ固さの肉棒を挿入され、歓喜と驚きの声をあげる。 「さすが、お兄様ですわぁ」  これ以上は無いという至福の表情を浮かべるすせり。 「わ、私も、もう……」  小さな体が快感にぴくぴくと震え、恍惚の笑みを浮かべて洸の上に倒れ込んだ。  ぴちゃっ、びちゃっ 「すせりちゃんのここ。小さくってかわいい」  そんな事をいいながら、洸がすせりの割れ目を舐める。 「当然ですわ。  わ、私のそこはお兄様のだけしか…ああっ受け入れてないのですから」  すせりは菊座を武流の肉棒で貫かれながら、自慢げに笑う。 「私はお兄様だけのモノですわ。私はお兄様専用のひゃうっ」 「じゃあ、私と同じだね」  とろんとした瞳で洸は答える。  あれからひたすら肉宴は続いていた。最初は拒否していた洸も三回目の絶頂から何かが 切れたのか、今は積極的に参加している。  この数時間の間、三人は互いに責めあい、快感を貪っていた。最初は洸に対して攻撃的 だったすせりも、すっかり蕩けている。 「洸。すせりの上になってくれ……」 「うん。いいよ。すせりちゃん、一緒に気持ちよくなりましょうね……」 「あぁぁぁ」  後ろを武流。前を洸に責められ、すせりは再び絶頂に押し上げられていく。 「イクっ。イッてしまいますわ」 「わ、わらひも……」 「よし、今度は三人で一緒にイこう」 「わかりましたわ」 「ひゃぃ」  自らの動きにあわせてくる二人の美少女の痴態に、武流はたまらなくいとおしさを感じ る。 (意図していたのとは違うが、まあこういう関係もいいか)  そんな満足感の中で、二人の少女に合わせて武流はすせりの直腸内に体液をぶちまけた。  ちゅんちゅんと、小鳥の鳴き声が聞こえる。  このあたりの家は庭が広く、野鳥の住処も多いので割と賑やかだ。 「う、うーん」 「よ。オハヨ」 「あ、おはよう武流」  その声に刺激されたのか、洸が目を覚ました。もっとも、かなり眠たげではある。  無理も無い。ただでさえ昨夜は遅くまで愛し合っていたのだから。  そんな事を考えていると、洸はふと、自分の体に眼を落とした。 「っきゃぁぁぁぁぁぁ」 「な、なんだ?」 「何で私、裸なの?」 「え?」 「うるさいですわねえ」  こちらも寝ぼけ眼を擦りながら、すせりが起き出す。その体には情事の後がしっかりと 残っている。 「す、すせりちゃんまで……  た〜け〜るぅ。私達に一体何したのよ」 「何したって、覚えてないのか」 「知らないわよ。すせりちゃんにまでいやらしい事して、言い逃れする気?」 「いや、そうじゃなくて」 「何よ…イタっ。  もう、武流が無理矢理お酒飲ますから、二日酔いになったじゃない」 「もしかしておまえ、酒に弱い?」 「そうよ」  武流は思わず頭を抱えた。と、言う事はアルコールで記憶が飛んでいるのか。 「ほら、なんとか言いなさいよ」 「おやおや、昨日は私をあんなにイカせてくれたというのに」 「え?」 「私がいくらイヤだイヤだと申し上げても、あなたときたら執拗に女の子の大事な所を嘗 め回すんですもの」 「え、私が……すせりちゃんを?」 「ええ」  ぴしっと固まる洸。 「おーい。洸?」 「武流?」 「ん?」 「どう言う事なのか、きっちり説明してもらいますからねっ」  早朝の空気に、洸の怒声とすせりの笑い声が響く。  今日もまた、花月邸の賑やかな一日が始まろうとしていた fin