騒々しい教室内。 すせり:ふぅ 机の上に突っ伏し、私は一人……憂鬱な気分に浸っています。 憂鬱な気分になる理由は判りきっています。 すせり:お兄様…… 本来なら私もお兄様と同じ学級だというのに、なぜこんな所にいるのかしら? すせり:はぁ 寂しくて寂しくて、こんなにもお兄様にお会いしたいと思っているのに…… お会いしたい? なんで会えないと思っているのかしら…… すせり:……私から会いに行けば、よろしいのですわ。 私はそう結論づけました。 そして、すぐに行動に移そうと思い、立ち上がります。 すせり:お兄様、待っていてくださいね。 すぐにお会いできますから……そして、私は教室を出て行く。 授業がもう少しで始まる、という直樹の声は当然、無視します。 お兄様に会うということは私にとって、何よりも優先事項ですわ。 武流:む〜 机と睨み合う……いや、机というよりは教科書に書かれている問題だろう。 武流:む〜 悩んでも悩んでもわからん。 授業時に指名され、この問題の解答を言ったが外れていたらしい。 そのせいでこの問題の解答を宿題とされてしまった。 武流:う〜ん(チラ) キラ:……… 武流:む〜(チラチラ) キラ:……… 武流:う〜ん(チラチラチラ) キラ:……… 肩をわななかせる琴代ちゃん。 あと一歩だな…… 武流:む〜(チラチラチラチラ) キラ:おい。 武流:ん? キラ:一体、何のようだ? 武流:答えがわからん。教えてくれ。 キラ:死ね。 単刀直入にそう答えてくれる琴代ちゃん。 だが俺も諦める気は毛頭ない。 武流:教えてくれ。 キラ:……それが教えを乞う態度なのか? 武流:お互いに裸を見せ合える程の仲じゃないか。 キラ:……… 武流:だから見せてくれ。 キラ:おまえ、そんなに殺されたいか? 射抜くように凝視する。 武流:やだなぁ、そんなに見つめられると照れちまうだろう。 キラ:はぁ…… 頭を抱え、琴代ちゃんが溜息を吐く。 そしてノートを何度か捲り、無造作に俺の前に置く。 武流:むっ? キラ:見ろ。 武流:……… 丁寧な字で書かれた公式、そして解答がそこにはあった。 だがそれは俺にとってはまだ不十分だ。 武流:……どうやって解いたんだ? キラ:……… 武流:じーっ キラ:……… 武流:じーっ キラ:……… 武流:じーっ 肩をわななかせた後、渡したノートを寄せて、丁寧な字と図を書く。 キラ:……ほらよ。 武流:サンキュー 再び渡されたノートにはわかり易い図と説明が書かれていた。 ???:お兄様ぁ〜! 聞き慣れた声のする方を振り返るとそこにはやはり、すせりがいた。 武流:ん? どうした、すせり。 すせり:日中、ずっと寂しくて、いてもたってもいられなくて、お兄様に会いに来たのです。 燦々と目を輝かせ、すせりが駆け寄ってくる。 俺の手前には偶然なのか亮一がいた。 亮一:げっ、葦原妹っ!! 顔を歪ませ、亮一が叫ぶ。 ドガァァッ!! 亮一を跳ね除け、すせりが抱きついてくる。 武流:まだ授業は終わっていないだろう。 すせり:それでもお会いしたかったのです。 武流:そうか。もう済んだか? すせり:はい。 満面の笑顔を浮かべるすせりの頭を優しく撫でてやる。 亮一:おい、葦原妹っ! いきなり何しやがるっ! すせり:あら、いらしたの? 亮一:いらしたの……じゃねぇ。 武流:青筋立てることもないだろう、子供のしたことだぞ? 亮一:あ、あのなぁ…… すせり:あらあら、お兄様を邪険にするのは止してくださいな。 亮一:てめぇな……誰のせいだと思ってる? すせり:私の通行方向にいた貴方のせいですわ。 にこりと微笑みを浮かべ、すせりが即答した。 亮一:はぁ……もういいや。 溜息を吐き、亮一が呟く。 武流:ところですせり、そろそろ授業が始まるんだぞ? すせり:ええ、わかっていますわ。でも、お兄様に会うことは何よりも優先すべきことですから。 武流:そうか。 亮一:恥ずかしいことをそう抜け抜けというんだな、葦原妹。 すせり:あらあら、恥ずかしいなんて思っていませんわよ。 亮一:俺たちにして見れば、お前らのしていることは恥ずかしいわ。 すせり:あらあら、そんなこと言って、あなたもこはくと抱き合ってるのではないのですか? 亮一:っ!! そ、そんなことはないぞ。 すせり:何を慌てていますの? もしかして図星ですか? 亮一:違う!! 違う違う違う。 すせり:本当にそうですか? 亮一:違うっていってるだろう。 すせり:ムキになるところがあやしいですわね。 ???:残念ですけど、お兄ちゃんは抱き合ってくれないんですよ〜 亮一:こはくっ!! お前まで何でここに来てるんだ? 武流:よっ! 今日は元気か? 俺は変わらず何も驚くことはせず、普通に挨拶した。 こはく:こんにちは、武流さん。私は相変わらず元気ですよ♪ すせり:……何しに来たのですか? こはく。 不機嫌そうにすせりがこはくに話しかける。 こはく:あ、お兄ちゃんにね。お弁当を届けに来たの。 牛が大量に描かれた風呂敷で包まれた弁当を亮一に見せ、笑顔でそう答える。 亮一:お、弁当なんてあったのか? こはく:うん。忘れちゃダメだよ、お兄ちゃん。 亮一:ああ、すまんな。 照れ臭そうに亮一が弁当を受け取る。 こはく:お兄ちゃんのために作ったんだから、きちんと食べてね。 亮一:……… すせり:ふふ、それでそのまま抱きつくのですか? 亮一:抱きつくかっ!! こはく:え〜っ、私はそのままお兄ちゃんと抱き合いたいなぁ 亮一:おい、こはく。頼むからお前までからかわないでくれ。 心底疲れたという表情で亮一が懇願する。 武流:……弁当か。 ぽつりと呟き、亮一が受け取った弁当を凝視する。 すせり:……… 亮一:お前にはやらんぞ? 武流:まぁ食えないこともないが、あるからいいや。 亮一:食えないこともないって……二つも弁当を食べて、まだ食べられるのか。 武流:おう。 すせり:……… すせり:(お弁当ですか……これは良い手ですわね。) すせり:お兄様!! 武流:ん? すせり:明日からは私がお弁当を作りますわ。 武流:へっ? こはく:わ〜っ、すせりちゃん。大胆な発言。 武流:どういうことだ? お兄様ったら、惚けてますわね。 お兄様のためにきちんともう一度、説明してあげますね。 すせり:ですから、私がお兄様のためにお弁当を作りますわ。 武流:いや、別に作ってもらっているから すせり:作りますわ。 武流:……… 沈黙は肯定ですわね。 すせり:ふふ、そういうことですのでお兄様、明日から楽しみにしてくださいね。 武流:あ、ああ。 すせり:それでは、お兄様……帰りの時にまたお会いしましょう。 すせり:(ふふ、これであの巨乳に弁当を作らせないで済むようになるのですわ。なんですぐにこんな簡単なことを思いつかなかったんでしょう……) 自然と私は軽い足取りで教室に戻りました。 武流:……… すせりが立ち去った後、俺はしばらく黙り込んでいた。 亮一:……… こはく:はは、凄い意気込みだねぇ。 武流:そうだな。 こはく:これはすせりちゃんには負けられないね。 亮一:こはくも勘弁してくれ。 こはく:でも、明日は無理だね。 亮一:そうだな…… 苦笑いを浮かべる亮一。 武流:(すせりの弁当か……) 不安は……すせりが料理が上手いということはわかっているのでない。 武流:(しかし……) 何か波乱の予感であるが…… 武流:(楽しみなもんだ。) 武流は至って気楽なものだった。 洸:絶対にダメ!! すせり:洸さん、食事中は静かにしてくださいな。 洸:誰のせいよ? すせり:嫌ですわ、他人のせいにするのですか? 嫉妬に狂った女は困ったものですね。ほほほほほほっ 洸:誰が嫉妬に狂っているって? こめかみをヒクヒクさせて、洸が尋ねる。 すせり:あらあら、そんなことも気づかないんですか。 洸:私は嫉妬なんて、してないわよ。 すせり:ほら、自分が嫉妬していると認めているではありませんか? 洸:み、認めてなんていないわよ。 頬を赤らめ、否定する洸。 そこまで否定されると俺としても、傷つくな。 すせり:でしたら、私がお兄様にお弁当を作ってもよろしいんですね? 洸:そ、それだけは絶対にダメ。 すせり:なぜですの? 洸:そ、それは…… 口篭る洸。 洸:そうだ……あ、危ないからよ。 すせり:危ないとは? 洸:子供が包丁とか、刃物を使ったら危ないからダメだって言っているのよ。 すせり:嫌ですわ。私はこれでも21歳ですよ? 子供扱いしないでくださいな。 洸:そんな冗談、信じると思ってるの?(←信じていない) 冗談ではないんだがなぁ…… すせり:冗談ではありませんわ。 洸:……とにかく、すせりちゃんには料理なんてさせない。ほら、武流からも言ってあげてよ。 武流:ん? すせり:お兄様、私がお弁当を作っても構いませんよね? 武流:あ、ああ。別に構わんぞ。 洸:武流っ!! 武流:別に料理ぐらいはいいだろう? すせりは料理を作るのは上手いんだぞ? 洸:そうなの……? 疑わしげに洸がすせりを一瞥しながら、尋ねる。 武流:う〜ん……最初に俺たちがここに来た時、300万円の鯉を料理したろ? 洸:……… 武流:あれ自体は不味かったが、料理を作ることに関しては上手いぞ。 洸:あのねぇ、普通は錦鯉を料理したりしないわよ? すせり:あらあら、普通なんて所詮、他人には通用しない自分だけのルールだってこと言いませんでしたか? 洸:あのねぇ……それ以前にあなた達の感覚がずれているのよ。 すせり:これだから金持ちは嫌ですわ。自分のルールとは違うとすぐに他人を非難するんですもの。 洸:……はぁ、もういいわよ。なんで料理することを許可するためにこんなに疲れるのかしら。 溜息混じりに洸が頷く。 武流:疲れたんなら休んだ方がいいぞ? 洸:誰のせいだと思ってるのよ…… 武流:む? すせり:さぁ? ご自分のせいでは? 胸がでかいと肩が凝るっていいますからね。 洸:……はぁ何とも思っていないみたいだし、いいわよ。ただし! 料理をすることは許可したけど やっぱり子供に料理を作らせるのは危ないから、私も手伝うからね。 すせり:遠慮しますわ。足手まといが増えてはきちんとしたお弁当を作ることができませんもの。 洸:あのねぇ……いつも二人分平らげているあなたが言わないでよ。 すせり:あんなのまだまだ足りませんわ。ほほほほほほっ 武流:……… すせり:で、他になにか文句ありまして? 洸:文句じゃなくて、心配してるのよ。 すせり:あ〜ら、洸さんに心配されるほど子供じゃありませんわよ。 洸:だから子供でしょ(←信じてない) すせり:(怒) 洸:それと…… すせり:?? 洸:教えられなかったかな……明日、創立記念日よ? すせり:はぁ? だから何だというんですか? 洸:いや、だから創立記念日だから明日、休みだって言ってるんだけど…… すせり:なんですって……そんなこと、聞いてませんわ。 武流:なに、そうなのか? 洸:武流もすせりちゃんもきちんと先生の話、聞いてなさいよ。 頭を抱え、洸が呟く。 武流:創立しただけで休みになるとは、思わなかったな。 洸:何言ってるのよ、創立記念日になったら休みになることなんて、当たり前のことじゃない。 武流:そう……なのか? すせり:そんなことよりも…… 洸:?? すせり:それでしたら明日のお弁当が無駄になるじゃありませんか。 洸:別に明日以外にもあるから、いいじゃない。 すせり:別に良くはありませんわ。初めてのお弁当を作ることができなくなってしまったのですから。 洸:……明後日でも初めてでしょーが…… すせり:気分の問題ですわ。 洸:そう……もう勝手にして。 頭を抱え、洸が呟いた。 すせり:ええ、あなたに言われなくても勝手にしますわ。 洸:はいはい。 すせり:明日はあなたの代わりに私がお兄様の朝食、昼食、夕食を作りますわ。 洸:え!? すせり:ですので、明日は洸さんは出て行ってくださいな。 洸:ちょ、ちょっと待ってよ。 すせり:なにか文句ありまして? 洸:あるわよ。 すせり:あら、どうしてですの? 洸:あのねぇ、何度も言ってると思うけどここ、私の家なんだけど…… すせり:はいはい、何度も言っているのでしたら、いちいち言わないでくださいな。 洸:……… すせり:で、だからどうしました? 洸:私の家で勝手なことしないでって言ってるのよ。 武流:別に同居してるんだから、いいじゃないか。 すせり:そうですわね。いつも勝手にしてますしね。 洸:あのねー、あなた達…… 手をフルフルと震わせる洸。 すせり:そういうことですのでよろしいですわね? 洸:ダメに決まってるでしょ。 すせり:あらあら、洸さんは勝手にして、と言いましたのにダメといいますか。これだから、お金持ちという人種は……ほほほほほほっ 洸:………わかったわよ。 怒りを抑えて(少し滲み出ているが)、洸が答えた。 洸:明日はどこか遊びに行ってるわよ。 すせり:ええ、邪魔者はどこかに行ってくださいまし。 洸:……… すせり:あら、どうしました? 洸:はぁ、ここ私の家なのに……どうして、私が出て行かなきゃならないのよ。 すせり:できれば、ずっと帰ってこなくても構いませんわよ? 洸:あのねぇ…… この日、朝までずっと洸とすせりの論争が続いた。 チュンチュンとスズメが囀る声。 朦朧とする意識の中、差し込まれる光。 武流:朝か…… 瞼を透き通って入り込むその光により、朦朧としながらもそれだけは認識できた。 武流:まだ眠いな。 学校は休み、ということもあり、寝直すことにした。 休みなのだから、洸も起こしには来ないだろう。 武流:(………………) 武流:(……………) 武流:(…………) 武流:(………ぐぅ) 二度寝開始…… ユサユサ 意識が再び朦朧としつつも取り戻し始めた。 武流:(ん? 洸か??) 武流:……今日は休みだろ、もう少し寝かせてくれ。 布団の中に潜り、洸にそう言った。 ユサユサ、ユサユサ しかし、変わらず揺らされる。 武流:頼むから、寝かせてくれ。 ???:……仕方ありませんね。 武流:んっ? 洸……なのか? 朦朧としていた意識が普通に戻ってきた。 ガサガサ…… ぬぉ、なんか急に下半身が涼しくなった。 ???:あむっ…ちゅぷ、ちゅ……ちゅぶ うぉぉ、気持ちいい。 洸の奴、朝っぱらからこんなことを…… ???:んんっ! んく、ちゅぶ、ぺろぺろ……ちゅ、くちゅくちゅ 武流:……… 待てよ? 前にもこのようなことなかったか?? 目を開け、布団を勢いよく捲った。 すせり:んっ……あ、お兄様、ちゅぷちゅぶ、おは…んっ、よう、ちゅ、ございます。 武流:す、すせり……朝っぱらから何をしているんだ? 布団を捲るとそこにはすせりがいた。 夜のように完全な裸ではなく……エプロンをしていた。 すせり:何をって……んちゅ、朝のご奉仕ですわ。 武流:とにかく止めろ。 すせり:あら、ぺろぺろ……ちゅぶ、お兄様のここは、んっ……こんなに喜んでますのに? 武流:洸にまた見つかるから止めろ。 肉棒を咥えるすせりを離し、その行為を止めさせる。 ま、確かに止めない方がいい程、俺の息子は喜んでいたが…… ま、父さんも結構いい感じにあったのは否定しないが…… すせり:あらあら、まだ途中ですのによろしいんですか? お兄様。 武流:ああ、当分は収まらないだろうが……この際、仕方がない。 洸に見つかるよりはマシ……だと思うしな。 すせり:洸さんに見つかるというのであれば、大丈夫ですわよ? 武流:ん、なぜ……というより、なんでエプロンをしているんだ? しかも裸で…… すせり:はい、お兄様のために朝食を作っていたのです。しかもお兄様の好きなシチュエーションで♪ 武流:いや、まぁ……確かに裸エプロンは好きであるが…… すせりにこんな格好させていいのだろうか…… 武流:ところでだ。なんでだ?? すせり:あら、昨日のこと忘れましたの? 今日はずっと、お兄様と二人でいることが決定したんですよ。 武流:そう、なのか……? すせり:はい♪ 昨日は話の途中で抜け出して、寝てしまったからよくわからない。 が、すせりがそういうのであればウソではないんだろう。 武流:洸のヤツ、泊まるのか? すせり:いえ、忌々しいことに夜には戻ってくるそうです。 武流:そうか、それはわかった。それでだな。その格好は止めてくれ。 すせり:あら、どうしてですの? 武流:いや、まぁ……子供にそんな格好させているとな。 すせり:嫌ですわ、お兄様。私も一人前の女ですわ、大好きなお兄様のためならこのような姿になっても構いませんわ。 武流:いや、確かにそうなんだが……目に毒というか、襲いそうで…… すせり:お兄様に襲われるのであれば本望ですわ。 にこりと微笑み、すせりが言った。 武流:……… すせり:いつ襲っていただいても構いませんので、私は朝食の用意をさせていただきますわ。 ゆったりとした足取りですせりが台所に向かう。 その後姿は正に襲ってくれ、と言っているようだった。 武流:襲わないようにしておこう……後が怖い。 今日という日が早く終わるように祈らずにはいられなかった。 夕暮れを過ぎた頃…… 武流:はぁはぁ…… すせり:ふふふっ 部屋越しに聞こえるすせりの声。 それは台所から聞こえる声だった。 武流:これで今日のほとんどが終わる…… 何度、すせりに誘惑されたことか。 確かに嬉しいことであるが妹と思っていたすせりを再び犯すということにはまだ罪悪感がある。 武流:なんで洸の奴、帰ってこないんだ? 二人が納得した、といえばそれまでであるが…… 朝からずっと洸の姿は見ていない。 武流:まぁ邪魔にならないように遊びに行ってるんだろうけど…… 今日だけは邪魔してほしいとさえ思えた。 朝食の時の裸エプロン。 昼食の時にはメイド服であった。 夕食時には何が出てくるのか……今の俺も下半身の息子も限界に近かった。 すせり:お兄様ぁ〜♪ 夕食ができましたわ。 勢いよく襖を開け、報せる。 武流:お、おう。 すせり:それでは早く来てくださいね。 武流:あ、ああ。 来る時とは逆に静かに襖を閉め、立ち去っていく。 そして、緊張した面持ちで俺は居間に向かう。 武流:これで耐えられれば……今日は終わりだ。 寝る時もあるがそのときには洸も帰ってきているだろう。 だから夕食を耐えれば、すせりの誘惑も終わる。 俺はそう思い、限界に近い理性を振り絞って、夕食に臨む!! バンッ!! 襖を力強く開け、居間に入る。 武流:……… いつも通りの居間の風景。 テーブルの上にはすせりが作った料理が盛られた皿が……乗ってない。 武流:ん? すせり:遅いですよ、お兄様。 武流:……な、すせり。 すせり:はい? 武流:夕飯は? もしかして作ってすぐに全部食べてしまったんじゃないだろうな? すせり:嫌ですわ、お兄様。いくら私でもお兄様のものまで食べませんわ。 武流:そうか……? すせり:はい。 武流:それで夕飯はどこにあるんだ? 皿もないぞ? すせり:皿なんて必要ありませんし、夕食なら目の前にあるじゃないですか♪ 武流:目の前? 目を凝らして見るが夕飯らしきものが何一つない。 武流:何も食べるものはない……と思うぞ? すせり:ふふふ、ありますよ。 武流:そうなのか? すせり:はい。 すせりがテーブルの上に座る。 すせり:さぁお兄様、私を食べてくださいまし♪ 武流:はい? すせり:いつもいつも、あの巨乳と遊んでばかりいて、すごく不満でしたの。 武流:あの巨乳……洸のことか。 すせり:はい。せっかくお兄様に女にしてもらったというのに、私とは一度切り……お兄様はひどいと思いませんか? 武流:いや、まぁ……だけどな。すせり、お前とはできん。 すせり:なぜですの? 首を傾げ、問い詰めるように見つめるすせり。 武流:だってな、お前とやると罪悪感が…… すせり:嫌ですわ、お兄様。私にとってお兄様は大切な人。お兄様に抱かれるのは最上の喜びですわ。 武流:うっ…… そう言われるとすぐに抱いてしまいたい気分になったが、ここは何とか我慢だ。 すせり:見てください、お兄様。すせりのここはもう我慢の限界ですわ。 俺に見せるように股を開き、下着を見せる。 触れたばかりだというのにそこはもう湿っていた。 武流:お、おい…… すせり:んっ……ほら、お兄様。すせりのここはお兄様が食べてくれることを待っていますわ。 湿った下着を脱ぎ捨てると縦に伸びた筋が露になった。 そこからは止め処なく愛液が溢れ出している。 武流:(ごくりっ) すせり:ほら、んんっ、お兄様のここも……ああん。待ちきれないと、訴えていますわ。 武流:……… 指で割れ目の中を掻き乱し、テーブルの上を愛液で濡らす。 その光景に俺の肉棒は当然……元気になっていた。 すせり:お兄様、あん……早く食べてくださいな♪ 武流:あ、ああ…… その行為に目を逸らすこともできず、俺はただ頷き、すせりの誘惑に身を委ねた。 すせり:ん、んんぅ、んっ…… 舌を絡め、お互いの唾液を吸い合う。 すせりは俺の肩を抱き、キスに熱中している様子だ。 すせり:ちゅ、ちゅぅ……んっ……あん。 すせりが甘い声を漏らした。 その理由はすせりの割れ目に指を入れたからだ。 すせり:お、お兄様……指ではなくて、その太いモノを挿入れてくださいな。 武流:挿入れてほしかったら……わかるな? すせり:ええ、わかっておりますわ。 すせりが俺のズボンを脱がせる。 そしてそこにはそそり立った俺の息子が今か今かと待っていた。 それに手を添え、咥える。 武流:くっ…… すせり:あむ……んん、ちゅぷちゅぷ…… 上下に顔を動かし、肉棒を刺激する。 すせり:気持ち、いいですか? お兄様?? 武流:ああ、気持ちいいぞ。だからもう少し続けてくれ。 すせり:はい……んむ、んくっ、ちゅ、ちゅぷ…… 武流:んく……俺も負けていられないな。 すせりが俺の息子を喜ばせている間、俺はすせりの膣内を口と指で弄ることにしよう。 武流:ペロペロ……ちゅぅっ、ずずっ すせり:んあっ……お、兄様? お兄様の舌が、んくっ、私の中に…… 武流:止まっているぞ? すせり…… すせり:あん、だって……お兄様も、んんっ、お上手なんですもの。 すせりも負けじと丹念に肉棒を嘗め、すせりの膣と同様に溢れてくる我慢汁さえも嘗め取り、対抗してきた。 武流:くっ すせり:ふふふふっ。お兄様も手が止まりましたわ。 武流:そりゃすせりの舌技も上手いからな。 すせり:それを教えてくださったお兄様には……あん、んんっ、ペロペロ……さすがに負けてしまいますわ。 武流:ちゅっ、ずずっ……ぐちゅぐちゅ…… すせり:んあっ、あん……お兄様…… 武流:もうダメか? すせり:はい。私の膣にお兄様の肉棒を挿入れてください。 武流:わかった。俺もそろそろ限界だしな……そのまま挿入れてくれ。 すせり:はいですわ。 迫っていたすせりの割れ目が離れ、そこに肉棒が収まっていく。 すせり:んんぁっ、お、お兄様のが私の膣内に、ふぅ……挿入っていきますわ。 愛液で濡れた膣内が難なく俺の肉棒を受け入れる。 だがまだすせりの膣は狭く、ぎゅうぎゅうと締めあげていた。 武流:くぅ……痛くないか? すせり すせり:はぁ……大丈夫ですわ。最初よりは痛くありません。それに例え痛くともお兄様とですから、我慢できますわ。 武流:そうか、それじゃ動くぞ? すせり:はい……んんっ すせりが頷く前に腰を動かし、すせりの膣を突き上げる。 すせりの口から女の甘い声が漏れる。 すせり:どうですか? お兄様 武流:ん? すせりの腰を抑え、抜けないようにしつつ、リズミカルに突き上げる。 すせり:あん、んっんっ…ふぁ 武流:何がどうなんだ? すせり:わ、私の膣内は……んぁ、気持ちいいですか? 武流:ああ、気持ちいいぞ。 すせり:ふふ、嬉しい、あん……ですわ。お兄様に、ん、そう言って、もらえて…… 武流:そのまま後ろに倒れろ。 すせり:はい……んんぅっ すせりをそのまま俺の上で寝かせるように指示し、再び舌を絡ませ、長いキスをする。 すせり:ん、んんっ……ぁん 刺激が足りないのか自分でも腰を振り続ける。 すせり:お、お兄様……あん! 私、もう…… 武流:限界なんだな? 俺も限界だしな、そのままイッてもいいぞ。 俺もすせりも限界が近づいていた。 すせり:あん、んんっ……んっんんっ! キスをすることも忘れ、お互い腰を振り続ける。 すせりの膣内から溢れる体液が俺の体を伝って、畳の上を汚す。 すせり:あん、あああぁぁぁぁぁっ!! 甲高い声をあげ、すせりが絶頂を迎えた。 武流:くっ どぴゅどぴゅ、どぴゅっ! どろどろ…… 一呼吸遅れで俺もすせりの後を追うように絶頂を迎える。 すせり:ふぁ……はぁはぁ 夢うつつのように虚ろな目で今も繋がっている部分を見つめる。 すせりの子宮内で収まらなかった俺の精がその部分から溢れ出てくる。 すせり:お兄様のですわ…… それを手ですくい、ペロリと嘗め取る。 すせり:んんぅっ、おいしいですわ…… 武流:そうか? すせり:ええ、それではもう一度…… 武流:ちょっと待て! これで終わりにしないか? すせり:まだまだ夜も長いのですし、終わりにはしませんわ。 武流:ま、待て…… すせり:待てませんわ。それにお兄様のだって、まだまだ元気じゃないですか。 いや、確かにそれは認めるが…… 武流:洸もそろそろ帰ってくるだろう? すせり:大丈夫ですわ…… ザザッ!! 洸:ただい……!! すせり:既に帰ってきてますもの。 洸を嘲るように微笑み、横目で見るすせり。 武流:洸……? 洸:……… 目を丸くさせ、洸の身体がピクピクと震える。 洸:きゃぁぁぁぁぁぁっ!! そして悲鳴。 洸:また何をやってるのよ、武流!! 武流:夕食だが見てわからないか? 洸:これのどこが夕食なのっ!! 武流:それじゃHだ。見てわからないか? 洸:それはわかるわよ!! て、そんなことより何でまたHしてるのっ!! 武流:どぁぁっ!! バッグを投げるな。 洸:うるさい、この変態っ!! すせり:あらあら、洸さん……見苦しいですわ、八つ当たりするなら別でしてくださいな。 洸:!! す、すせりちゃんも何ずっとそのままなのよっ。早く離れてっ!! すせり:い・や・で・す・わ! ここは私の特等席ですし、嫉妬に狂った負けメスはそこでじっとしてなさいな。ほほほほほほっ 洸:……武流ぅぅぅっ!! 肩をわなわなと震わせ、ギロリと睨む洸。 すせり:あ、ちょっと何しやがりますの!? すせりを退かせてから、投げつけたバッグを拾い、俺の前に佇む。 武流:ちょっと待て!! なんで俺に矛先が向かうんだ? 洸:原因は貴方でしょっ!! きちんと責任とって、成敗されなさいっ!! バシバシとそれで殴ってくる洸。 武流:どぁぁっ、や、止めろっ!! それに責任とって、成敗じゃないだろう。 洸:うるさいっ!! この変態っ!! 武流:止めろぉぉぉっ!! 話せばわかる、頼むから止めてくれ!! すせり:(これでお兄様は完全に私のもの……負け犬の遠吠えはいつ見ても、良いものですね。) すせり:おほほほほほほほっ その夜、ずっとすせりの嘲笑が響いていた。